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スーパー考

物心ついた頃から、通っていたスーパーOK。

家からそんなに遠くない場所だったものだから、買い物といえば商店街かOKだった。
お肉、魚、野菜は商店街で買って、OKで、カレールーやメーカーの調味料なんかを買う
みたいに、ちゃんとスーパーと商店街の棲み分けが成り立っていた時代だった。
そこのOKでは、日本初の無人販売の実験が行われていた。
通常の売り場とは別に、それはあって、コーヒー豆を自動で挽いてくれる機械の巨大版みたいなのがたくさん並び、お金を入れるとすごい大きな音がして、中から商品が転がり出てくるといった感じだった。
いつの間にかそれはなくなってしまったのだけれど。

大火災で焼失した、巨大なビスケット工場の跡地にOKができて数十年。
週末には駐車場の空きを待つ車が、狭い道路に列をなしている。

このスーパーは、値段の安さでは、イトーヨーカ堂やダイエーの比ではないだ。
いつから激安スーパーとして名を馳せたのかはよく判らないが、
とにかく、同メーカーの同製品で、OKより安い店を見たことが無い位安いのだ。
特にビールやワインなどのアルコールの値段は、すごいものがある。
90年代終わりの急激なデフレの頃から、突然安くなった気がする。
個人的には、レタスがそれまで 248円、安くても 198円だったのが、ある日 128円、別の日には 100円となっていたのが衝撃的だった。
このスーパーの特徴は、数多く種類を取り揃えるというよりも、品種を絞って大量に仕入れる
という感じだ。
よって、今までずっとあった商品が、ある日違うメーカーに代わっているということも普通にある。

昨年の麺類値上げ騒動の前までは、イタリア・バリラ社の1キロ入りスパゲッティが299円という
信じられない値段で売っていた。
同じものが某店では500円台だったというのに。

そんなわけで、週末ともなるとレジにはすごい行列ができる。
買う側としては、非常にありがたい存在のお店なのだが、逆に働く側となると、非常に大変らしい。
品出しも、レジも見てるだけでそれは判る。

OKのレジを見てて「これは優れている」と思う点は、例えば合計金額が出たものの、そのお客さんがお金を出すまで、時間がかかることがある。その間、西友なんかはじっと待っているのだが、OKは次のお客さんのレジを始めるのである。
慣れた人だと、こちらが見惚れるくらい、手際がよい。

OKのレジマシーンは、金額の「合計」を押すと引き出しが「ガチャーン」と開く普通のタイプである。
西友や大丸ピーコックなどは、お金を投入すると自動的におつりが出てくる新しいタイプのレジを採用している。
一見、こちらの方が便利で効率的だと思うが、そうでもないのである。

◆紙幣と硬貨の投入口が狭く、入れるのに時間がかかる。(駅の自動券売機を思い出せばわかる)

◆投入しないとおつりが出てこない。(当たり前)

◆おつりが出るまで、意外と時間がかかる(ピーコックのレジではこの時間を利用して、ひとつでも多く商品を袋詰めしていた)

◆お金の精算が終らないと次のお客の分にいけない。(これは機能的なものなのか、お店の考え方なのか判らないが)

こういった理由から、効率化を図って投入したこのタイプのレジが、レジ待ちが恒常化している店舗では、逆効果を挙げている気がしてならない。(もっとも、このレジ導入の最大の理由は、おつりの間違い防止だと思うが…)

さらに西友とOKを比べて、レジの置き場所も違っていることに気づいた。

お客さんは通常、商品の入ったカゴをレジカウンター後方に置く。
対面の店員さんはカゴの商品をポス(バーコード読み取り機)にかざして、隣のカゴに順次入れていき、全て計算が終ると、カゴを前方に移動させる。
それに合わせて、お客さんは前方の、カゴを受け取る位置まで進み、そこにあるトレイにお金をのせる。
店員さんはそのお金を受け取って、真横のレジに入れる。
これが当たり前だと思っていたら、西友は「レジ」の位置が後方にあった。
つまり、お金を受け取ったら真横ではなくて、1、2歩後ろに戻って精算して、お釣りを持ってくる。
駅に直結しているこの店舗では、お客さんが多レジの待ち時間がとても長い。
放送でもしきりに「ご迷惑をお掛けしています」とやっている。

次に、スーパーといえば買い物袋の問題がある。
ごみ問題が取り沙汰されてからは、ビニール袋の有料化を始めたお店が増えてきたが、
まだまだ日本では「もらって当たり前」感が蔓延している。

OKではすでに15年以上前から有料化されていた。
当初は、2種類の袋が用意されていたが、今は1種類で値段も高めに設定されている。
おそらく、ビニール袋にしては高い、と感じさせて、次回から袋を持参させるように誘導していると思われる。
西友は、サービスダウンとなる有料化については、長い間様子を伺っていたが、ここ最近、逆(?)の発想というか、レジ袋不要のお客さんに対して、合計金額から「2円」引くサービスを行っている。
実際、買い物袋を持参する人は増えている。

エコバックとか言う名前をつけて、オシャレ感を前面にだしている感じだが、もとを糺せば
昔は「買い物カゴ」という便利なものがあり、それが当たり前だった。
エコバック=買い物カゴ、といったところだろうか。

70年代にゴミが大問題に発展していたドイツでは、早々と「レジ袋」有料化が始まっていた。
ビニール製のものだけでなく、Baumwolleという木綿製の袋が数多く出回っている。
ビニール製は数回使うと破れてしまうが、布製はとても頑丈に出来ていて何度も使え、
しかも折りたためるので、とても重宝されている。
スーパー毎のオリジナルデザインの袋が沢山あって、しかも安いので思わず集めてしまった。

日本でも高級食品を扱う「紀ノ国屋」などで見かけるが、なんせ高い。
環境問題を考えてというよりも、そのお店を普段使いしているマダムの満足感をくすぐる、という感じがしないでもない。


東横線の「元住吉」という駅を降りると、すぐに「Bremen Strasse」ブレーメン通りという商店街が延びている。
文字通り、ドイツ ブレーメン市を模していて、年に何回かイベントなどがあって、ブレーメン市長も来日したことがあるらしい。
所用で新横浜へ行った帰り、偶然通りがかったので途中下車して歩いてみることにした。
商店街の街灯が、ブレーメンの音楽隊などで飾付けられている。
なんかドイツらしいものを…と期待して歩いてみたものの、特に変わったところが見つけられず、歩行者天国の外れまで来てしまった。
なかなか楽しい商店街だったが、少しがっかりしてまた駅前まで戻ってきた。
駅前まで来ると、さっきは気が付かなかったが、何の変哲もない文房具屋があり、入口に布製の袋が掛かっていた。
それを見た途端、思わず懐かしい思いがこみ上げてきた。
ドイツで買い物をする時、いつも持ち歩いていた、買い物袋(Einkaufstasche)だった。
しばし手にとって懐かしみ、お店に入って 「表に掛かっている布袋をください」 と気分良く買い求めた。
お金を渡して布袋を受け取ろうとした時、店員さんは、わざわざビニール袋に入れて渡してくれた。
その瞬間、さっきまでの懐かしい気分はすーっと消えてしまった。

駅の階段を登る足取りは、重かった。その日の疲れがどっと出た感じがした。

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