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ケンプ 熱情

ベートーヴェンピアノソナタ23番 熱情

日本では、以前からベートーヴェンの三大ソナタの一曲として、有名だった奏鳴曲。

(ピアノを洋琴と呼んでいた頃は、ソナタを奏鳴曲と言っていた)

ドイツ人ピアニストのベートーヴェン弾きと言えば、ケンプ(1895年生まれ)とバックハウス(1884年生まれ)だった。
「鍵盤の獅子王」と渾名されたバックハウスは技術的にもとても安定したスケールの大きな演奏をし、テクニックに心配なところのあるケンプとは、対極の演奏だったという。
古い批評家などの中には、今でもバックハウスを超えるベートーヴェン弾きはいない、と豪語する位の人もいる。
ところが、バックハウスはあまり、というか日本には1度しか来なかった。

それに対し、ケンプは、戦前を含め10回以上来日した。
ベートーヴェンのピアノソナタ、ピアノ協奏曲全曲演奏会なども行っており、とても日本が気に入っていた。

Wilhelm Kempff ヴィルヘルム・ケンプ(1895~1991)

P1010225.jpg

北ドイツ、Jueterbog(Jüterbogk)に、19世紀の終わりに生まれたこのピアニストが亡くなったのは1991年、96年もの長生きだった。

P1010215.jpg
ケンプのベートーヴェン三大ソナタのレコード。

1度目のベートーヴェンピアノソナタ全曲録音(1951年から1956年にかけて録音)から、三大ソナタを抜粋したもの。
これは自分のクラシック、特にピアノを聴き出したきっかけになったレコードで、何度も何度も聞いて、当時はレコードの扱い方など、全然無頓着だったので、結構傷だらけになってしまった。


P1010208.jpg
ピアニストKempffのカタカナ表記がこの時代はまだ「ケムプ」

このレコードのB面に第23番「熱情」が入っている。

ピアノソナタの中でも人気のあるこの「熱情」は、ほとんどのピアニストが録音している。
特に第3楽章など、16部音符のアレグロの激流が最後まで支配し、多くのピアニストはペダルをうまく使い、第2楽章からの途切れのない入口から、すでに右手の付点のメロディーを左手の奔流に鋭く切り込んでくる。
その緊張感たるやただ事ではない。
(あまりに速すぎたり、激しすぎたりすると、コーダのプレストの効果が出なくなってしまい、結果的にあまり面白くなくなってしまう演奏が多々ある)

ところが、ケンプの演奏はというと、激しやすい演奏とは一線を画し、ちょっとノンレガート気味にペダルも少なく、悪く言えば他人事のように16部音符が開始されるのである。

訥々とした始まりは、すでに「パッション」を通り越し、死力を尽くして戦った後の、まるで焼け跡の街を俯瞰するような、寂寥感の様相を呈している。

更に、3楽章が始まって、あの「タターン」という運命のメロディーが左手で何度も何度も繰り返され、だんだん大きなうねりに変わって行き、やがてそれが右手に移ると、突然スピードを上げるのである。
彼は、何度もこの曲を録音しているが、途中でテンポを上げるのは、この録音だけのようだ。
これがまた、効果覿面で全然不自然にならないところが凄い。

この曲の最大の聴き処は、おそらくコーダのプレストからラストにかけて、となるのだろう。

が、ケンプの場合、3度ずらした両手のユニゾンが、上から下へ降りながら8部音符の和音を何度も叩きつけ、爆発するところまで盛り上がって、それを一度冷やす箇所があり、ディミネンドで冷やされた流れは、再び、右手によるPPで静かに弾かれる再現部(コーダの手前の繰り返し記号によって戻ってくる箇所。1度目と繰り返しによる2度目と、2回弾く事となる)に繋がってゆく。
その時、2回繰り返されるこの再現部の音楽の運びが、とんでもなく聴かせるのだ。
第3楽章の出だしの寂寥感をもっと突き詰めて、ついに枯淡の境地に達している。
一瞬、バッハのコラールの内声部を聴いているような感覚になる。

(繰り返しについて。この録音では、繰り返しは省略されている。当時、繰り返しを省く演奏が多かった。繰り返しによって、コーダに突入しようとする音楽の勢いがそがれる、という解釈が多かった為、と聞く。)

現代ではこんな風に「熱情」を弾く人はいないだろうし、昔だって、例えばベートーヴェンのソナタ演奏の一つの基準とされていたシュナーベルにしても、ペダルを多用して疾風怒涛の如く弾きまくっている。

ケンプのそれは、テンポもゆっくりだし、緩急のつけ方や衝突も鋭くない。
技術的に脆弱な部分を指摘する人もいる。

彼が亡くなって20年、もう過去のピアニストとなってしまったけれど、誰もが同じように弾き殴るような演奏が多い昨今にあって、結局、このケンプの演奏に戻ってしまうのである。


P1010212.jpg

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