日常 非日常
日々の暮らしの中で  旅へ出て

最近の記事



プロフィール

lugano

Author:lugano
雪は降る、あなたは来なぃ






↑よろしければ、ポチッとクリックをお願いします。


↑かわいいワンコへ感謝をこめて


↑カレーが食べたい…



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



フリーエリア

↑かわいいワンコへ感謝をこめて



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ケンプのゴルドベルク

ゴルドベルク変奏曲を一躍有名にしたカナダのピアニスト、グレングールド。
1955年盤、1981年盤と、どちらも甲乙つけ難いほど素晴しい。
55年盤、81年盤では著しくテンポが異なり、演奏時間も10分近くの差がある。
81年の方が長らく好きだったが、どうもピアノの音がいまいち気に入らず、
それに最近は、スピード感のある演奏の方に傾きつつあるので、
今聴き比べたら55年の方を選ぶかも知れない。

今回、久しぶりに引っ張り出してきたのは、ヴィルヘルムケンプの弾いたゴルドベルク変奏曲。
1969年の録音で、ピアニスト74歳のときのもの。
曲自体はとてもあっさり弾かれ、最近の演奏家が良くやるように、大袈裟なタメもない。
流れる音楽を邪魔せずに、淡々とすすめて行く。
でも、その中には彼にしか出来ない右手のメロディーの歌わせ方だとか、ともすれば曖昧になってしまう一歩手前の
16部音符の中声部だとか、まるで、砂漠の中から埋もれかけの真珠の連なりが次々と表れてくる様な、
彼の詩が堪能できる。
この曲は一度だけ、シュテファンヴラダーという人の生演奏を聴いた事があるが、
あの演奏は本当に素晴しかった、ケンプの演奏でも一度本物を聴いてみたい、と思わせられた。

ケンプは、若い頃よりも年を取ってからメカニックが上達した珍しいピアニストだ。
この人はドイツ人で、まさしくドイツ正統派と呼ばれる雰囲気を地で行っているような音楽家だ。
ピアノだけでなく、オルガンも弾けば作曲もしている。
父のヴィルヘルムケンプ(同一名!)は元々教会オルガニストで、息子のヴィルヘルムも自然と嗜んでいたようだ。
来日時、広島世界平和教会でのオルガンコンサートなどの録音も残っている。

ケンプは、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、シューマン、シューベルトと、ほぼドイツ圏の作曲家の曲を多く残している。
彼の弱いところはメカニックだとよく言われるが、確かにあぶなっかしいなと思うところはある。
が、正直、彼の素晴しいときの演奏を聴くと、音が間違ったとか、指がうまく回らない、なんて事はどうでもいい
と聴き手を引き込んでしまう恐ろしさがある、と最近気がついた。

彼のことを「ケンプという怪物にしかできない~」と表現していた人がいたが、
それまで、彼の例えが「怪物」だとはどうもしっくり来なかったのである。

イギリスBBCのアルヒーフに残っている演奏が、BBC LEGENDSとして発売されている。
そのシリーズの中に、1967年10月にマンチェスター大学で催されたケンプの演奏会がある。
この大学内のWhitworth Hallという会場でのリサイタルらしいが、大学内ということもあり、
有名な音楽専門のホールでは無いのであろう。
録音はモノラルで、音もちょっとこもり気味だ。
プログラムは、彼の得意なシューベルト、ベートーヴェン、ブラームス、それにモーツァルト。
シューベルトは、あの D960 変ロ長調ソナタである。
丁度、このシューベルトに目覚めた頃に見つけたアルバムだったので、買ったんだけれども
出だしのモーツァルトが始まった途端、金縛りにあったような感覚に陥ってしまった。

まさに憑かれた様に引き込まれた。
よく、ケンプ演奏には、彼の精神性が云々、と言われることがあるが、それが初めて分かったような気がした。
もし自分がこの空間にいたら完全に魂を持っていかれただろう、と聴衆がなんとも羨ましかった。

ポジターノに居を構えていた彼の晩年は、認知症を患い老人ホームに入って、訊ねてくる弟子の顔も判別できなくなってしまったが、調律の狂ったピアノを弾くケンプの周りに集まった人々は、みな涙を流して演奏に聴き入っていたという。
スポンサーサイト


コメント


コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する


トラックバック

トラックバック URL
http://junkersdorf.blog82.fc2.com/tb.php/135-21d0bbf3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。